CIDPとは

CIDPの筋力低下や感覚障害は、末梢神経の脱髄が原因と考えられています

CIDPってどんな病気?

CIDPとは?

CIDPは日本語では「慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(ニューロパチー)」といい、英語の頭文字をとって「CIDP」と呼ばれています。

まんせい
慢性

Chronic

えんしょうせい
炎症性

Inflammatory

だつずいせい
脱髄性

Demyelinating

たはつこんしんけいえん
多発根神経炎

Polyradiculoneuropathy

CIDPは、手足に力がはいらない、思うように動かない、手足の感覚がにぶい、しびれるなどの症状がおきる末梢神経の病気です。神経細胞の軸索(じくさく)を覆う髄鞘(ずいしょう)が傷ついて(脱髄:だつずい)、脳からの命令が手足に伝わりにくくなったり、手足の感覚が脳に伝わりにくくなることが原因と考えられています。
これにより動きにくくなる症状を「筋力低下」、触感の異常やしびれ、痛みなどの症状を「感覚障害」と呼んでいます。

▶︎神経と脱髄

神経は脳からの命令を手足に伝えたり、手足からの情報を脳に伝えたりする役割を持っています。電線に例えるなら、脳からの電気信号を伝える電線(軸索)が、ビニールコードのような髄鞘に包まれた構造をしています。

神経の情報は電気信号として伝えられます。電気信号は、正常な神経では髄鞘のすきまを跳びながら伝わりますが、CIDPで脱髄すると信号がうまく伝わらなくなり、筋力低下や感覚障害が現れることがあります。

CIDPの症状は?

CIDPでは患者さんによって病気の進行や障害される神経の部位が異なりますが、以下のような症状が現れることがあります。多くの場合、2ヵ月以上にわたって徐々に進行します。その後の経過は、良くなったり悪くなったりを繰り返す場合や、軽くなる場合など、患者さんによって異なります。

CIDPは日常生活にかかわるさまざまな動きに影響を与えます

全国CIDPサポートグループ:慢性炎症脱髄性多発神経炎(CIDP)およびその周辺疾患の患者実態調査報告書. p52, 2018. ,
Van Nes SI, et al.: Neurology.2011; 76(4): 337-345. (PMID:21263135), Aotsuka Y et al. Neurology. 2024; 102(6), e209130. (PMID:38408295),
慢性炎症性脱髄性多発神経炎/多巣性運動ニューロパチー(指定難病14)(2024年6月20日閲覧)
https://www.nanbyou.or.jp/entry/4089 より作成

CIDPはどのように進行するの?

CIDPは症状が現れてから2ヵ月以上にわたって進行する病気で、ゆっくりと進行するタイプ(慢性進行型)、再発・寛解を繰り返して進行するタイプ(再発寛解型)、一度しか発症しないタイプ(単相型)があります。

患者さんはどれくらいいるの?

2021年の日本における疫学調査では、人口10万人あたり3.3人、日本全体で約4,180人の患者さんがいると考えられています。
男性にやや多い傾向があります。患者さんの平均の発症年齢は52歳ですが、患者さんは赤ちゃんから高齢者までいます。

日本神経学会 監修: 慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー, 多巣性運動ニューロパチー診療ガイドライン作成委員会 編集: 慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー, 多巣性運動ニューロパチー診療ガイドライン2024, p.5-6, 南江堂, 2024. より作成,
慢性炎症性脱髄性多発神経炎/多巣性運動ニューロパチー(指定難病14)(2024年6月20日閲覧)https://www.nanbyou.or.jp/entry/4089

いろいろなCIDP

患者さんによって症状の種類や症状がでる部位は異なります。医学的には障害される神経の部位や障害のされ方によって以下のように分類されています。分類によって治療がどれくらい効果があるか、病気がどのように進行するかが変わります。

日本神経学会 監修: 慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー, 多巣性運動ニューロパチー診療ガイドライン作成委員会 編集: 慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー, 多巣性運動ニューロパチー診療ガイドライン2024, p.5, 12-13, 南江堂, 2024. より作成
Aotsuka Y, et al.: Neurology. 2024; 102(6): e209130. (PMID:38408295)

JP-VDJCIDP-24-00073(2025年1月作成)