CIDPの治療法

CIDPの治療治療法にはIgG自己抗体を抑える方法や、炎症を抑える方法などがあります

CIDPの治療

CIDPの原因は?

人間の体には体を守るための「免疫」というしくみが備わっています。
本来、免疫は自分の身体には反応しませんが、CIDPでは神経細胞の軸索(じくさく)を覆う髄鞘(ずいしょう)が免疫によって壊されてしまう(脱髄:だつずい)ことで、神経のはたらきに異常が生じると考えられています。CIDPの原因は明確にはわかっていませんが、重要な脱髄の原因のひとつとして、IgG自己抗体が髄鞘に結合することで、マクロファージや補体などの免疫にかかわる細胞やタンパク質が髄鞘を攻撃してしまうことが考えられています。

IgG自己抗体とは?

IgG(抗体)はからだの外から入ってきた細菌などを無力化したり、排除する役割を持っています。
しかし、免疫の異常によって、自分の体の一部に反応してしまう「IgG自己抗体」が作られてしまうことがあります。

CIDPにはどんな治療法があるの?

CIDP治療では主に、免疫細胞のはたらきを抑える治療と、自己抗体の働きを抑える治療が行われています。
免疫細胞のはたらきを抑える治療には、副腎皮質ステロイド薬免疫抑制薬があります。自己抗体を作るはたらきを抑えて自己抗体の数を減らしたり、免疫細胞のはたらきを抑えたりします。 自己抗体のはたらきを抑える治療には免疫グロブリン療法、血漿交換療法、FcRn阻害剤などがあります。IgG自己抗体を体内から除去したり、機能しにくくします。

日本では最初の治療として「免疫グロブリン療法」または「副腎皮質ステロイド薬」が用いられることが多いです。病気が改善しているか、副作用がないかなどを確かめながら結果に応じて治療法を変更することもあります。
また、治療の回数や治療にかかる時間も、治療ごとに異なります。主治医と相談しながら治療法の選択や、治療の継続を検討しましょう。
なにか治療に関して困っていることやつらいと思うことがあったら、主治医に話してみましょう。

一部の副腎皮質ステロイド薬、免疫グロブリン製剤、FcRn阻害剤はCIDPに対して適応がありません。免疫抑制薬はCIDPに対しての使用が承認されていませんが、診療報酬の審査上で使用が認められているものがあります。

日本神経学会 監修: 慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー, 多巣性運動ニューロパチー診療ガイドライン作成委員会 編集: 慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー, 多巣性運動ニューロパチー診療ガイドライン2024, p.30-41, 南江堂, 2024. より作成
慢性炎症性脱髄性多発神経炎/多巣性運動ニューロパチー(指定難病14)(2024年6月20日閲覧)https://www.nanbyou.or.jp/entry/4089
Mathey EK, et al.: J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2015; 86(9): 973-985.(PMID:25677463)

CIDPの治療法はどう決める?

CIDPの治療は、病型や重症度、年齢などにより治療法が選択されます。
患者さんによって治療の効き方や副作用の出方は異なるので、治療法を決めた後も
今どのような状態なのか、具体的に話しながら選択することが重要です。

CIDPの薬物療法

日本でCIDPの薬物療法に用いられているお薬には以下のようなものがあります。

* 効能又は効果に関連する注意:静注用人免疫グロブリン製剤を投与し有効性が認められたものの、症状の再発・再燃を繰り返している患者にのみ投与すること

※1 一部の副腎皮質ステロイド薬、免疫グロブリン製剤はCIDPの治療については本邦未承認。
※2 免疫抑制薬はCIDPの治療については本邦未承認。シクロフォスファミドはCIDPの正式な保険適用を有しないが、診療報酬審査上、原則としてその使用は認められている(保医発0928第1号-平成23年9月28日)。
※3 コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム【注射薬】はCIDPの正式な保険適用を有しないが、診療報酬審査上、原則としてその使用は認められている(保医発0928第1号-平成23年9月28日)。
※4 一部のFcRn阻害剤はCIDPの治療については本邦未承認。

詳細情報については各製品の添付文書をご確認ください。

JP-VDJCIDP-24-00073(2025年1月作成)