ITPの治療目標は、必ずしも血小板数を正常に戻すことにあるのではなく、危険な出血を防ぎ、かつ生活の質を向上することにあります。
一般に血小板数が3万/μL以上で出血症状が軽度の場合は、治療は行わず経過をみます。2万/μL以下は治療適応となり、2~3万/μLではそれぞれの患者さんの出血リスクに応じて治療開始するかどうか判断します。
ITPの治療目標は、必ずしも血小板数を正常に戻すことにあるのではなく、危険な出血を防ぎ、かつ生活の質を向上することにあります。
一般に血小板数が3万/μL以上で出血症状が軽度の場合は、治療は行わず経過をみます。2万/μL以下は治療適応となり、2~3万/μLではそれぞれの患者さんの出血リスクに応じて治療開始するかどうか判断します。
参考 難病情報センターホームページ(2023年11月現在)
■ ヘリコバクター・ピロリ菌除菌療法
ITP診断後、ヘリコバクター・ピロリ菌に感染しているかどうかを確認します。ヘリコバクター・ピロリ菌に感染している場合は、抗生物質などで除菌を行います。除菌が成功した方の50~70%で血小板数が増加します。
■ 副腎皮質ホルモン製剤
副腎皮質ホルモン製剤には、免疫を抑制する作用があり、自己抗体が結合した血小板がマクロファージで破壊されるのを抑制するなどの働きがあります。血小板数や出血症状をみながら、減量や投与の中止をします。
■トロンボポエチン受容体作動薬
トロンボポエチン受容体作動薬は、骨髄中の巨核球を成熟させ、血小板の産生をうながす作用があります。
■抗CD20モノクローナル抗体製剤
自己抗体は成熟したB細胞(形質細胞)で産生されます。抗CD20モノクローナル抗体製剤はB細胞を減少させる作用があり、それに伴い自己抗体の産生も減少することで、血小板数の減少が抑制されます。
■脾臓摘出術(脾摘)
手術によって、脾臓を摘出します。脾臓は、自己抗体が結合した血小板の破壊や自己抗体の産生を行う部位であるため、脾臓を摘出することにより、血小板数の回復が期待できます。最近は、腹腔鏡下脾摘術という身体への負担が少なく、術後の回復も早い手術方法が選択されることが多くなっています。
■脾臓チロシンキナーゼ阻害薬
脾臓チロシンキナーゼという酵素による細胞内のシグナル伝達を阻害することで、マクロファージによる血小板の破壊を軽減します。
■免疫グロブリン大量療法(IVIG療法)
γ-グロブリンがマクロファージと結合することにより、自己抗体と結合した血小板がマクロファージに破壊されるのを防ぎ、血小板数の減少を抑制します。大量の免疫グロブリン製剤を5日間連続して点滴静注します。血小板数は、治療開始3日後くらいから増加しますが、一過性で約2~3週間です。
■ステロイドパルス療法
大量の副腎皮質ホルモン製剤を3日間連続して点滴静注します。血小板数は、治療開始3日後くらいから増加しますが、一過性のことが多いです。重篤な出血時には免疫グロブリン大量療法や血小板輸血と併用されます。
■血小板輸血
血小板に対する自己抗体が存在するので、輸注された血小板の寿命は短く、血小板数の増加は一過性です。緊急時には免疫グロブリン大量療法と併用することで、血小板増加効果が得られやすくなります。
参考 柏木浩和, 他. 成人特発性血小板減少性紫斑病治療の参照ガイド2019 改訂版. 臨血. 2019; 60(8): 877-896.
医療情報科学研究所・編. 病気がみえる vol.5 血液 第2版. メディックメディア. 2017
JP-VJITP-24-00014(2024年3月作成)